おすすめ本 <<毎月1日更新>>


2008年8月
 道路の権力 猪瀬 直樹〔文春文庫〕

 東京都副知事となり自民党からイエローカードを突きつけられた猪瀬氏は今や次期東京都知事候補という人あり。小泉氏、石原氏に重用される一方で自民党議員から疎まれる稀有な存在だけに、一度読んでみようと手にした一冊。本書からは登場する政治家の個性が生き生きと伝わってくるが、改革の中身は今ひとつ・・・かな。

感動★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★




2008年7月
 笑う警官 佐々木 譲〔春樹文庫〕

 北海道警察の幹部が組織ぐるみの裏金問題を暴露したのは記憶に新しい。不祥事を極端に嫌う警察にとってはセンセーショナルな事件だった。警察内部事情に明るい佐々木氏が本書で描くのは、裏金作りの実態を暴露する警察官とそれを阻止しようと殺人事件まででっちあげる警察組織の戦いである。実際、北海道警察では裏金問題で元警察署長の自殺者まで出ている。

感動★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2008年6月
 ZERO 麻生 幾〔幻冬舎〕

 警察機構のエリート集団と言えば公安部であることは案外知られていない。戦時中の特高警察がその前身とも言われ、極左やオウム真理教などの監視活動を行なう。ZEROは警察庁に設置された公安機能の実在する秘密部署である。毎度不思議な麻生幾の情報量がいかんなく発揮された本書は中国公安部と日本の公安警察の情報戦を描き出している。

感動★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2008年5月
 満州国演義 船戸 与一〔新潮社〕

 浅田次郎の『中原の虹』を愛読した人にとっては堪らない一冊だ。『中原の虹』のラストから『満州国演義』の時代は始まる。袁世凱の死と軍閥時代の幕開けは日本軍の満州侵略の道を開いた。その時代に生きる4人の兄弟の話である。外務官僚の長男に、単身満州に渡り馬賊と化した次男、陸軍憲兵隊として満州に赴任した三男に中国留学中の四男。四人の兄弟の人生は満州という激動の時代に飲み込まれていく。しかし、この作品全四巻。我が家のベットで大河ドラマが始まった。

感動★★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2008年4月
 隠蔽捜査 今野 敏〔新潮社〕

 警察モノなのにミステリーではない。警察モノなのに敏腕刑事もヒーローもいない。容疑者と刑事の駆け引きは全くない。この物語はもっとリアルで恐ろしい戦いが描かれているのだ。警察内部の嫉妬と出世競争。警視総監を目指すキャリア官僚にとってミスは犯しても発覚させてはならないもの。そんな中で警察の不祥事が起きた。隠蔽か公表か?主人公は警察庁きってのエリート意識の持ち主、竜崎総務課長。このエリート意識の本領発揮が面白い作品だ。

感動★★★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★




2008年3月
 人口減少社会の設計 松谷 明彦〔中公新書〕

 大蔵省主計官だった著者が人口減少社会の未来を占う。80年後には日本の人口が1200万人になるとの推計から、今必要な政策ビジョンを示している。今まさに旬の道路特定財源問題は将来人口と切り離せない問題だ。道路ができた時に人口10分の1では、採算が取れるわけがない。

感動★★ 睡眠不足★★ 
学習★★★★★




2008年1月
 中原の虹 浅田 次郎〔講談社〕

 名作『蒼穹の昴』の続編が遂に四巻まで出揃った。史実であって、フィクション。実在の人物と架空の人物を織り交ぜることで、清朝末期の紫禁城を生き生きと蘇らせた普及の名作から数年。前作の主役春雲の兄、春雷が主人公となってラストエンペラーの時代をかける。これぞ浅田文学。どれほどの勉強をするとこんな文章が書けるのか?彼のライフワークを感じる。

感動★★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★★




2007年12月
 警官の血 佐々木 譲〔新潮社〕

 表題の通り、戦後から現代まで続いた警察官親子三代のロングストーリーだ。戦後直後の混乱期に駐在所勤務の警官になった祖父は謎の死を遂げ、死の真相を究明しようと警視庁に飛び込んだ父は凶弾に倒れた。息子もまた警官となり、祖父と父の死の真相を突き止める。それは時代が生んだ事件だった。読み応え十分。新春大河ドラマを見るつもりで読むといい。

感動★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★




2007年11月
 反転 田中 森一〔幻冬舎〕

 東京地検特捜部といえば今話題の守屋事件を手がける捜査のエリート集団。しかし、特捜部でも滋賀大学出身の著者は現場捜査を主とする叩き上げの特捜検事。検察上層部によって自分の手がける事件がもみ潰されていくうちに、やがて彼はヤメ検弁護士として闇社会の守護神と化していく。『国家の罠』に続き、日本の国策捜査を考えさせられる。ただし、田中氏を知る関係者によれば本のような善人ではないと。

感動★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2007年10月
 交渉人  五十嵐貴久〔幻冬舎〕

 前半戦は著者の文章がやや拙文で、最後まで読む自信をうしなわせるものの、警視庁の交渉専門捜査官が交渉術を披露する話なので読むうちに引き込まれる。前月オススメした「わるいやつら」を読んでおくと、いよいよ楽しめます。

感動★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★




2007年9月
 わるいやつら  松本清張〔新潮社〕

 金に困れば女性からむしりとればいい。本業の病院経営には目もくれず放蕩三昧の病院長・戸谷信一が主人公。松本作品に代表される人間の欲深さと破滅を描くストーリー展開はいつものパターンだが、医師の死亡診断書で事件が隠蔽される問題指摘は現代でも当てはまる。

感動★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★




2007年8月
 トヨタ伝  読売新聞取材班〔新潮文庫〕

 年間利益2兆円を超える日本最大、世界屈指の巨大企業トヨタの強さを知る一冊。トヨタを強くしたのは計算された理屈以上に、理屈ではない企業理念だった。トヨタの本社が豊田市であることは有名だが、東京で働くトヨタ役員までが愛知県に自宅を持っているのは知られていない。トヨタスピリットを伝える良著。

感動★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★★




2007年7月
 政治と情念  立花 隆〔新潮文庫〕

 読破するのに3ヶ月かかった不毛地帯を読んでいたら、田渕総理として登場する田中角栄氏について興味が再燃してきた。そこで手にしたのは、田中真紀子さんが外務大臣を辞め、世論が彼女に味方していたときに出版された立花隆氏の一冊。当時のタイトルは「田中真紀子研究」であり、父角栄氏との違いを克明に記している。角栄氏の金脈を追った立花氏が政治を「情念」で捉えているあたり面白い。

感動★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★★




2007年3月
 不毛地帯  山崎 豊子 〔新潮文庫〕

 陸軍大本営参謀だった主人公はシベリアに11年抑留された後、帰国した。戦争を指揮した自分の贖罪意識を持ちながらも、その陸軍人脈を期待され防衛産業に触手を伸ばす大手商社に入る主人公。その後、彼がたどる商社マンとしての数奇な運命を描いています。どうやら中曽根首相のブレーンと言われた瀬島龍三氏をモデルにしているようです。

感動★★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2007年2月
 手紙  東野 圭吾 〔文藝春秋〕

 映画化されるということで話題の一冊です。東野圭吾氏にしては珍しくミステリー性のないドキュメンタリータッチな物語。弟のためにお金を作ろうと強盗を犯し、殺人に発展してしまった兄貴を持つ弟の話し。弟は強盗殺人の兄貴の存在によって夢を諦め、仕事を失っていく。そんな時、雇ってくれた社長の一言が彼を救う。社会は犯罪者とどのように向き合うべきか。社会に問いかける一冊です。

感動★★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★




2007年1月
 小泉官邸秘録  飯島 勲 〔日本経済新聞〕

 「痛気持ちいい」という表現があるなら、本書は憎たらしいけど面白い「にくおもろい」一冊です。著者は辣腕で知られる小泉総理の政務秘書官、飯島勲氏。主席秘書官が見た政権5年間を回想しています。憎らしいのは勝利者ゆえの民主党批判。優越感がにじみ出てくる部分には嫌な気分にさせられますが、何より本書の凄いところは、政権内部の様子を秘書が本に出来てしまうところです。出せる話しと出せない話し。その全てを総理と秘書が信頼し合っていなければ、本書は誕生しようがありません。安倍政権の政務秘書官が本を出せるでしょうか?悔しいけど小泉元総理の凄みを感じちゃうな。

感動★★★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★




2006年11月
 椿山課長の7日間  浅田 次郎 〔朝日文庫〕

 またしても浅田モノ。読めば全部、オススメ入りしてしまう浅田シリーズですが、これまた泣けるんだわ。ある日突然倒れた中年オヤジ。俺にはまだやることがある・・・なんて現世に未練たっぷり成仏しきれない椿山課長は、別人の美女になって現世に復活。そこから物語りは展開します。現世で与えられた日数はわずかに7日間。椿山課長は天国へ行けるのか?涙を誘う一冊です。

感動★★★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★




2006年9月
 流星ワゴン  重松 清 〔講談社文庫〕

 死んじゃってもいいかなあ、もう・・・。息子は家に引きこもり、妻に家を出て行かれ、もはや人生に失望した38歳。彼のもとに一台のワゴンが通りかかる。それは38歳当時の父親と出会う時間を超えた旅への始まりだった。知らなかった過去、知らなかった父親の姿に気づかされ、これまで歩んだ全てのもが違って見えてくる自分の人生。『メトロに乗って』を思わせる父と子を題材にした感動の秀作です。

感動★★★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★




2006年8月
 落日燃ゆ  城山三郎 〔新潮社〕

 靖国問題で揺れる現代の日本。合祀されたA級戦犯の遺族の中でも、意見は割れています。そんななか、祖父は軍事でもなければ戦死者でもない、祀られる資格さえないとして、「取り消して頂ければ、一番スッキリします」と合祀に不快感を示した遺族がいました。遺族の祖父は広田弘毅元総理。「落日燃ゆ」は広田弘毅の一生です。4年前に読みましたが、昨日から改めて読み返しています。外交官でありながら戦争を止められなかった悔しさと、政治家としての責任を死して示した広田元総理。靖国が政治宣伝に使われている今何を想うでしょうか?

感動★★★★ 睡眠不足★★ 
学習★★★★★




2006年7月
 帝都東京・隠された地下網の秘密  秋庭俊 〔新潮文庫〕

 都内の地下鉄網は戦前につくられていた!衝撃の仮説を発表した本書には驚かされる。南北線溜池山王駅が既存の半蔵門線より上にある理由、不採算路線大江戸線が開設した理由が、戦前に掘られた地下網の再処理だったとしている本書には十分な説得力を感じる。だとすれば「掘った」はずの予算はどこに消えたのか?軍部の陰謀が見え隠れする力作です。 

感動★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★★




2006年6月
 時生  東野 圭吾 〔講談社文庫〕

 なんとも言えない感動がある。自分の前に現れた不思議な少年。それは時空を超えて未来から現れた自分の子どもだった。全ての責任を産み捨てた母親のせいにする若者・主人公の宮本拓美は少年の出現によって、自らの生い立ちに向き合うようになる。役目を終えた少年は・・・。「花やしきで待っている!」のセリフが耳から離れない感動の一冊。 

感動★★★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★




2006年5月
 天国までの100マイル  浅田 次郎 〔朝日文庫〕

 浅田ファンの僕としては読んでしまえば即オススメ入りしてしまう浅田モノ。なかでもこの一冊はいい!入院中に手持ち少ない活字として大事に大事に読みました。心臓病の母親を助けるために、名医の待つ病院まで何もかも失った40過ぎの息子が車を走らせる。薄情な兄貴たち、恩知らずの弁護士。俺は一人で母ちゃんを助けてやる!ところが、浅田モノには必ず登場する人情派。医者は金もうけじゃないと言い切る名医。財布ごと軍資金を恵んでくれる金貸し。やっぱり浅田モノはいいよ!帰りの飛行機の中で足は溢血、目は充血。 

感動★★★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★




2006年4月
 人斬り半次郎  池波 正太郎 〔新潮文庫〕

 訳あって、4月4〜6日まで鹿児島は城山観光ホテルにいました。桜島を眺める露天風呂は最高!その行き帰りで読む本としてはタイムリーな一冊。すぐに「戦じゃ、戦」といって西郷さんを困らせる半次郎。その半次郎を最後まで突き放さず、命まで預ける西郷さん。半次郎の一生を読んでいくと西郷さんの人柄が伝わってきます。幕末好きな人にはオススメです。 

感動★★★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★




2006年3月
 錦繍  宮本 輝 〔新潮文庫〕

 なんと2ヶ月連続で宮本輝になってしまいました。錦繍は82年に出版された本なので結構古い作品です。時代もあって、錦繍は 全編にわたって男女の手紙のやり取り。手紙のやり取りといえば、昔、武者小路実篤著の「愛と死」を読んで感動しましたが、錦繍の方が事情が複雑で読み進む楽しみがあります。面白いですよ。 

感動★★★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★




2006年2月
 星宿海への道  宮本 輝 〔幻冬舎文庫〕

 疲れたときに癒されたいと思ったら、やっぱり宮本輝ですね。タクラマカン砂漠付近で失踪した兄を探す弟。物乞いの母親に育てられ、養子入りした兄と血の繋がりのない弟は失踪の理由を探して、兄の幼少期の過去を求めていきます。失踪を追って過去を求めるところは以前に紹介した「月光の東」に似ていますが、こちらの方が宮本文学らしいほのぼのさがあると思います。 

感動★★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★




2006年1月
 黒い福音  松本 清張 〔新潮文庫〕

 なんせ昭和史発掘が読み終わらないので、飽きたところで併読中なのがこの一冊。昭和34年に実際に起きたスチュワーデス殺人事件の実態を解明し、その背景となったキリスト教徒の暗躍を暴くもの。キリスト教団によって神の名のもとに繰り返される犯罪の数々。国際的な立場の弱い日本はこの事件を解決できないままにしてしまいます。著者の怒りがこもった一冊。

感動★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★★




2005年12月
 昭和史発掘1〜12  松本 清張 〔文春文庫〕

 12月〜1月の2ヶ月間このシリーズにかかりきりで、ほとんど他の本を読んでいません。というのも全12巻ものなので、「竜馬がゆく」より時間がかかります。とにかく著者の取材力が半端じゃない。張作霖爆殺事件から始まる軍部の独走とは一体なんだったのか?考えさせられる一冊です。

感動★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★★




2005年11月
 郵政大乱!小泉魔術  大下 英治 〔徳間文庫〕

 なぜ民主党は負けたのか?亀井グループは失脚したのか?この一冊でよくわかります。30年間、郵政民営化と訴え続けてきた小泉総理の執念を最後まで見抜けなかった反対派。総選挙を最後まで脅しだと妄信した民主党。小泉視点に立つと、どちらも情けない限りです。歯がゆい思いで読破した一冊です。

感動★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★★




2005年10月
 情と理  後藤田 正晴 〔講談社〕

 ちょっと古い本で恐縮です。政界をはじめ各界から訃報を惜しまれた後藤田正晴氏を代表する一冊です。この本を読んで私も後藤田ファンになった一人です。警察庁長官時代に浅間山荘事件で頑なに警察官の銃器使用に慎重だった後藤田氏の哲学はこの一冊から多くを学べます。

感動★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★




2005年9月
 半島を出よ  村上 龍 〔幻冬舎〕

 総選挙期間中に読むにはいいかもしれませんね。やや、現実味に欠ける物語ですが、経済が破綻し、失業者で溢れかえる5年後の日本を舞台にしています。その日本に攻め込む北朝鮮の特殊部隊。予想通り何もできない日本政府に代わって活躍するのが、爆弾オタク、毒グモ飼い、ブーメランつかいの犯罪者集団。日本社会の矛盾をつく一冊です。

感動★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★




2005年8月
 震度0  横山 秀夫 〔朝日新聞社〕

 阪神大震災とちょうど同じ頃、震災では揺れることのなかったN県警に「不祥事」の激震が走ります。キャリア対ノンキャリ、警務部対刑事部、さまざまな立場の警察官たちが不祥事をめぐって保身と野心で対立していきます。あまり気持ちのいい内容ではありませんが、警察の内部事情を知るには良書です。

感動★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★★




2005年7月
 国家の罠  佐藤 優 〔新潮社〕

 選挙期間中は1冊も読めませんでした。選挙直後に10冊買ったうちの1冊です。あの鈴木宗男元代議士の側近と呼ばれ、同氏とともに逮捕された異色の外交官、佐藤優著の告白手記。外交の内側が本当によく分かります。あるテレビ局記者に佐藤氏への同情を示したら「宗男さんの自宅に取材に行ったら、(佐藤氏が)取材に同席するんですよ」、と同氏の遠慮なさは明らかだったようです。

感動★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★★




2005年6月
 オー・マイ・ガアッ!  浅田 次郎 〔集英社文庫〕

 選挙前のストレス解消にはもってこいの一冊。スロットでジャック・ポット(大当たり)50億円を出した主人公と、その賞金を使い込んでしまったスロットの経営者と板ばさみになるカジノホテルの経営者たち。カジノを巡る事件の面白さもさることながら、読めば必ずベガスに行きたくなる一冊です。

感動★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★




2005年5月
 夏の炎 梁 石日 〔幻冬舎文庫〕

 朴正煕大統領暗殺を企てる23歳の在日韓国人青年が主人公。以前に紹介した「テロルの決算」より小説的で暴力的なトーンですが、内容的にはやや似たところがあるかもしれません。南北統一を夢見る主人公はそれを阻害する軍事政権、朴大統領暗殺を計画。アメリカ、日本の政略が複雑に絡んでいきます。

感動★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2005年4月
 黒革の手帖 松本 清張 〔新潮文庫〕

 今月は米倉涼子主演のドラマが話題になった原作「黒革の手帖」です。資産家を破滅に追い込みながら貪欲に財を築こうとする元銀行員で銀座のママとなった主人公がおさめた成功の影でうごめく生々しい恨みの連鎖。人の恨みは恐ろしいと実感させられる一冊です。

感動★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★




2005年3月
 進化し過ぎた脳 池谷 裕二 〔朝日新聞社〕

 なぜ人間の記憶はいい加減なのか?脳の能力を使いきっていない理由とは?脳に電気刺激を与えると動物をコントロール出来る仕組みなど、最新の脳研究を授業形式の口語体で伝える良書です。私のようなカルシウムとマグネシウムの違いがわからない文系でも安心です。

感動★★★★ 睡眠不足★★ 
学習★★★★★




2005年2月
 火の粉  雫井 脩介 〔幻冬舎文庫〕

 「犯人に告ぐ」で一躍脚光を浴びている作家雫井氏に興味を持って手にした一冊です。主人公は一家殺害事件の被告人に無罪判決を言い渡した裁判官とその家族。無罪となった男が隣の家に引っ越してきた。彼は本当に冤罪被害者なのか、それとも殺人鬼なのか?手に汗握る展開に寝不足を誘います。

感動★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★★




2005年1月
 輪違屋糸里  浅田 次郎 〔文藝春秋〕

 またもや浅田作品で恐縮ですが、やっぱりいいんです。裏・壬生義士伝とお考え下さい。舞台は幕末、島原の町。主人公は土方歳三に想いを寄せる島原一の芸妓・糸里。「人を恨んだらあかん。ご恩だけを胸にきざむんや。」この名台詞が心にしみる秀作です。やっぱり泣きます。

感動★★★★★ 睡眠不足★★★ 
学習★★★★




2004年12月
 クライマーズ・ハイ  横山 秀夫 〔文藝春秋〕

 壬生義士伝以来久しぶりに涙した一冊です。一瞬にして500名以上の命を飲み込んだ御巣鷹山、日航機墜落事件。主人公は地元紙の新聞記者で事故の統括デスクを任されることに。遺族、記者、家族それぞれの事故に対する想いを新聞作りを通して考えさせられます。泣きます。

感動★★★★★ 睡眠不足★★★★
学習★★★★




2004年11月
 板前修業  下田 徹 〔集英社新書〕

 まったく趣向の変わった一冊をお勧めします。実は私の隠れた趣味の一つが料理。ふらっと手にした一冊が、銀座の料亭で腕を磨いた著者の本でした。趣味で寄席も行う著者の語り口は、料理本と言うより板前の心意気を伝える講談風です。金目鯛って鯛じゃないって知ってました?寝不足にはなりませんが、箸休めの一冊としてどうぞ。

感動★★★ 睡眠不足★ 
学習★★★★★




2004年10月
 COケース・オフィサー  麻生 幾 〔扶桑社〕

 一体彼は何者なんだろうか?そう思わせるのは主人公でなく筆者その人です。フィクションなのに首相官邸の構造に至る細部が実にリアル。大胆なストーリー展開でありながらその取材力でリアリティーを持たせています。主人公は過去に中東大使館駐在員を務めたノンキャリ外事警察官。戦う相手は国際テロリスト。協力者は各国諜報機関員。アメリカの情報力には唸りますね。

感動★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★




2004年9月
 差別と権力  魚住 昭 〔講談社〕

 学歴があるわけでも、親が政治家でもなく、50代にして国会初当選を果たした野中広務氏が、突風のように権力の階段を駆け上がる原動力とは何であったか。ハンセン病訴訟などで見せる優しさと、政敵を徹底的に叩きのめす恐ろしさ、その両面を元共同通信記者の著者が野中氏の生い立ちに求めています。絶賛の一冊です。

感動★★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★★★




2004年8月
 深い河  遠藤 周作 〔講談社文庫〕

 だいぶ古い本の紹介ですが、台湾への機中で読んだ一冊です。ガンジス川へと向う団体旅行のツーリストたち、彼らはそれぞれの人生を背負って河に向います。死者の灰を流すその河は、聖書もない教祖もない宗教でありながらツーリストたちの苦悩を飲み込んでいくという不思議な話です。遠藤周作の傑作です。

感動★★★★ 睡眠不足★★ 
学習★★★★




2004年7月
 無間地獄  新堂 冬樹 〔幻冬舎文庫〕

 シャレにならない闇金の深み、地獄を遠慮なく描ききっています。主人公は暴力団幹部の闇金帝王。その主人公にはめられて行くのが、モデル並のルックスを持つキャッチのトップセールスマン玉城慎二。玉城の人生崩壊の様子は、政治家のホームページで紹介していいのか戸惑うほどです。

感動★★ 睡眠不足★★★★★ 
学習★★★★★




2004年6月
 半落ち  横山 秀夫 〔講談社〕

 幸運にもブックオフで見つけたベストセラー小説でした。「半落ち」は1章ごとに刑事、弁護士、判事、記者、看守と主人公が変わり、それぞれの視点で妻殺しを犯した犯人に向き合います。人間くさいドラマの中で、結局誰もがヒーローになることなく終わる極めてリアルな小説でした。

感動★★★★ 睡眠不足★★★★ 
学習★★★




2004年5月
 プリズンホテル  浅田 次郎 〔集英社〕

 編集者にバックドロップを浴びせる小説家木戸孝之介が宿泊した舞台こそ、極道の叔父が経営するホテル、その名もプリズンホテル。押し寄せる宿泊者はいずれも個性派ぞろい。売れない歌手に、一家心中覚悟の家族、果ては50年のムショ暮らしから出所した老人極道まで。それぞれが歩んだ道のりを読み取るうちに、登場人物の誰もがいとしく思えてくる感動の一冊です。

感動★★★★★ 恋愛★★★ 学習★★★




2004年4月
 仏教の授業  梅原 猛 〔朝日新聞社〕

 中学生に向けた授業内容をそのまま本にした仏教の話ですから、読みやすく、わかりやすい一冊です。9.11同時多発テロの原因をイスラム教とキリスト教の一神教による不寛容に求めていたりするのは、やや乱暴な理屈ですが、仏教の基本知識は容易に習得できます。

学習★★★★ 読み易さ★★★★★




2004年3月
 幻夜  東野 圭吾 〔集英社〕

 『月光の東』に続き、魔性の女性が主人公です。95年阪神大震災の被災地にあらわれた女性の過去は秘密に満ち、触れようとする男性が次々と奈落に落ちていきます。顎間固定のさなか2日で読みきれた傑作です。読めば必ず、以前に紹介した『白夜行』を読み返したくなります。

感動★★★ 恋愛★★★
睡眠不足★★★★★




2004年2月
 月光の東  宮本 輝 〔中公文庫〕

 初恋の彼女は今ごろ何をしているだろうか?「ワタシ ヲ オイカケテ」謎めいた言葉を残して消えた憧れの美女・米花の半生を主人公が解き明かしいきます。彼女は悪女なのか?彼女を取り巻く男の数々に出会うほど、切なすぎる米花の半生への同情さえ覚えます。

感動★★★★ 恋愛★★★★ 学習★




2004年1月
 水の眠り灰の夢  桐野 夏生 〔文春文庫〕

 珍しくサスペンスものです。主人公は週刊誌の記者、時代は東京オリンピック当時です。連続爆弾事件を追ううちに、主人公が、別の事件に巻き込まれ、容疑者にされていきます。テンポのいい展開に、朝方読み終わるまで本を閉じることが出来ませんでした。お正月ならではの一冊かもしれません。

感動★★★ 恋愛★★ 学習★




2003年12月
 天国への階段  白川 道 〔幻冬舎〕

 生まれ育ったのは北海道の牧場。主人公柏木圭一郎は、牧場と父親、そして最愛の恋人までを奪い取った資産家で代議士の江成への復讐を果たす為、上京して成功者となります。柏木もまた衆議院選挙への出馬準備を進めますが、選挙区は東京5区ですから、それだけでも見逃せません。ラストの物足りなさが残念。

感動★★★★ 恋愛★★★ 学習★




2003年11月
 民主党マニフェスト  民主党

 今月は何と言ってもこの一冊。現在駅前などで街頭活動時に無料配布していますが、1時間で200部ほどがなくなる人気ぶりです。政党が作った製作物で過去最高の評価を各選挙区で得ています。ちなみに11月に手塚事務所からは6千部お持ち帰りいただいたそうです。

感動★  学習★★★★★




2003年10月
 白夜行  東野 圭吾 〔集英社〕

 1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺されたところから事件は始まります。容疑者は次々に浮かぶものの、事件は迷宮入り。全く違った人生を歩んでいるはずの被害者の息子と容疑者の娘。2人の線を結ぶものが明らかになったとき、事件の核心が見えてきます。あまりにも悲しく切ないラストは、読み応えとは裏腹に、後味の悪さはこの書の特徴です。

感動★★★★ 恋愛★★★★ 学習★




2003年9月
 蝦夷地別件(上中下)  船戸 与一 〔新潮文庫〕

 手篭(てごめ)にされ、搾取され、都合が悪くなれば簡単に殺されるアイヌ人。アイヌ首長の孫として生まれた少年の視点から、18世紀末に起きたアイヌ人最後の武装蜂起を通して、先住民に犯した日本人の蛮行を暴きつつ、民族の絶滅を恐れて日本人と同化して行く少数民族の悲しい姿が描かれています。

感動★★★★ 恋愛★★★ 学習★★★★★




2003年8月
 壬生義士伝(上下)  浅田 次郎 〔文春文庫〕

 貧農の出なればこそ、名家の侍以上の武士道を愚直に貫いた新選組の侍たちの生きざまを描いています。野田佳彦国対委員長も近く映画版を観て涙されたようです。隣りで怪しむベトナム人を気にすることなく、ベトナムへの機中で涙読した1冊です。

感動★★★★★ 恋愛★★ 学習★★★




2003年7月
 三たびの海峡  帚木 蓬生 〔新潮社〕

 ナチスのユダヤ人虐殺については詳しい日本人が朝鮮人に対する虐待を知らなかったりします。 主人公は戦中に強制労働者として日本に連行された朝鮮人です。 一通の手紙をきっかけに、戦後帰国し、実業家として成功をおさめた主人公が背負った十字架を降ろしに、 三たび海峡を渡ります。




2003年6月
 テロルの決算  沢木 耕太郎 〔文春文庫〕

 社会党委員長浅沼稲次郎代議士が刺殺された事件は生まれていなかった自分でも知っている事件です。 なぜその青年は犯行に及んだのか?右翼赤尾敏氏の差し金とも言われた当時の分析を沢木氏が凄まじい取材力の前に論破する。 刺客の青年の実像に迫ったノンフィクションの一冊です。




2003年5月
 私は闘う  野中 広務 〔文春文庫〕

 政治家の書はつまらないという、常識を変える一冊です。 オウム、阪神・淡路大震災、小沢一郎などと闘う場面が克明に記されている一方で、 最終章の政治家の条件は参考になります。 「若い人で『政治家になりたい』という人がいたら私はやっぱり地方議員からやってこいと言う 」(抜粋)



2003年4月
 ヒトラーの防具(上・下)  帚木 蓬生 〔新潮社〕

 1938年、太平洋戦争の直前に駐ドイツ武官補佐官になった主人公が、 日独伊の三国同盟に傾く陸軍に身を置きながら、ナチスの欺瞞に気づき、葛藤する姿が見事に描かれています。 「弱者排除の政治を行うドイツと同盟して良いのか?」主人公の苦悩は、 同盟国と日本のあり方という意味で必見です。




2003年3月
 オレンジの壺(上・下)  宮本 輝 〔講談社〕

 宮本文学の中で一番好きな一冊です。
平凡な25歳の佐和子がある日、祖父が遺した日記を見つけ、 世界大戦前にパリで暮らした祖父の知られざる意外な過去を探しに旅に出ます。
先の読めない展開に、大学2年生で読んだ当時連夜の睡眠不足になりました。




2003年2月
 蒼穹の昴(上・下)  浅田 次郎 〔講談社〕

 最高の歴史小説です。ラストエンペラー時代の中国紫禁城を舞台に、 一人は官僚、一人は宦官となって西太后に仕えるニ人の幼なじみが権力の階段を駆け上がります。 『鉄道屋』の人情味が大スケールのなかで感じられる浅田小説の傑作です。




2003年1月
 立花隆のすべて  〔文芸春秋 編〕

 「知」の生神様、立花隆と文芸春秋時代の元同僚たちが対談し、立花氏の変人ぶりを暴いています。 立花流勉強方法の書かれた最初の20ページは誰もが参考になります。 報道を目指す学生は、これを読んでから「田中角栄研究」などを読むときっと勉強になります。




2002年12月
 情報、官邸に達せず  麻生 幾 〔新潮社〕

 なぜ、金正男は不法入国が出来たのか、なぜ簡単に帰国させてしまったのか? この本は、最近の6つの有事について官邸の内幕をノンフィクションで描いています。 特に金正男事件、JCO臨界事故、阪神大震災の内幕は圧巻です。 素顔が不明の著者の正体も気になりますね。






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